用語集

用語解説集

機械的性質(きかいてきせいしつ)

金属の諸性質のうち、硬さや対変形・対熱・対摩擦・対疲労の強さなどの性質のことです。

機械的性質を測る為の試験として下記の試験があります。
①.引っ張り試験
試料に破断するまで制御された張力をかけて、試料の引張強度、降伏点、伸び、絞りなどの機械的性質を測定する試験です。
それらの測定値から、ヤング率、ポアソン比、降伏強さ、加工硬化特性などが算出され、機械製品を設計開発する際の材料の強度計算に使用されます。

一軸引張試験は、等方性材料の機械的特性を得るために一般的に用いられます。
複合材料や織物などの異方性材料の場合は、二軸引張試験が必要です。

②.圧縮試験
試験片に徐々に圧縮力 (荷重) を加えて材料の機械的性質を知る試験です。
延性に富んだ金属材料には適しませんが、もろい材料の強度を求める場合に有効な試験法です。
得られる応力-ひずみ線図から、圧縮時の比例限度、弾性限度、降伏点または耐力、弾性係数、圧縮強さ (脆性もろい材料では破壊強さ) などが求められます。
また、真応力-ひずみ線図からは塑性加工時の材料の変形抵抗を知ることができます。
試験には専用の圧縮試験機か万能材料試験機を用います。
試験片には特に規定はありませんが、座屈と端面の影響を除くために、通常は試験片の長さを直径の1~2倍程度とします。
また試験片の端面と耐圧盤との摩擦抵抗が小さくなるように注意します。

③.ねじり試験
丸棒または円筒状試験片にねじりモーメントあるいはねじれ角を与え、そのときのねじれ角かねじりモーメントから材料の機械的性質を知る試験です。
大変形領域での応力-ひずみ関係を求める場合、引張り試験では局部収縮によって正確に測定できないのに比べて、ねじり試験ではこの領域の測定も容易です。
よって、金属材料の加工性を求める目的のためによく利用されています。
試験結果から横弾性係数、ねじり降伏点、ねじり強さ、破壊までの全ねじれ角などが得られます。
試験には専用のねじり試験機が用いられます。
試験片には特に規定はありませんが、両端のつかみ部を太くして、試験目的に応じて直径や肉厚 (円筒状の場合) と長さの比を変えます。

④.硬さ測定
硬い軟かいということは実用上大切な性質でありますが、物理的に説明するのには複雑で、他の物理量のように正確にこれを定義することはできません。
しかし硬さを測定することによって、引張強さなどの機械的性質など、そのほか多くの性質を推定することができ、しかも手軽であるので最も広く行なわれる材料試験の方法です。
硬さの程度を表すのは、金属材料ばかりでなく、食品やその他のものについても重要な値です。

⑤.衝撃試験
衝撃力に対する材料の抵抗、つまり靭性 (粘り強さ) や脆性 (もろさ) を判定する試験です。
機械や構造物の設計・製作上きわめて重要な低温脆性、切欠き脆性、焼戻し脆性などを調べるのに欠かせません。
試験片に加える荷重によって、衝撃引張り、衝撃圧縮、衝撃曲げ、衝撃ねじり、その他に分類されますが、工業的に使用されるのは、切欠きつき試験片に対する衝撃曲げ試験が主です (ダイカスト合金、鋳鉄では切欠き不要) 。
この形の試験には、もっぱらシャルピー衝撃試験機とアイゾット衝撃試験機が用いられます。

⑥.破壊靭性試験
き裂・き裂状の欠陥を有する材料に、力学的な負荷が加わったときの破壊に対する抵抗を試験します。
定量的には、破壊力学で用いられる力学的パラメータである応力拡大係数やJ積分などで評価されます。
材料の破壊に対する粘り強さの特性を意味する靱性の具体的な指標の一種です。

元々は不安定なき裂進展形式の破壊現象である脆性破壊に対する材料定数を探るために研究されてきましたが、現在では安定なき裂進展による延性破壊も含めて破壊靱性の手法で評価することが行われています。
延性破壊のように塑性変形が無視できないほど起こるき裂進展に対しては、弾塑性破壊力学パラメータのJ積分やき裂先端開口変位で評価する必要があり、破壊靱性もそれらのパラメータ値で代表されます。
静的に負荷に対する破壊靱性は静的破壊靱性と呼ばれ、衝撃荷重のような動的負荷に対する破壊靱性は動的破壊靱性と呼ばれて区別されます。

同じ種類の金属材料で比較した場合、一般的傾向として、降伏応力や引張強さが高い材料ほど破壊靱性は低下します。
あるいは、破壊靱性が高いほど、降伏応力や引張強さが低下します。
よって、強度的xにより優れた材料の開発にあたっては、引張強さと破壊靱性の両方をバランス良く向上させることが求められます。

⑦.ひずみ測定
製品強度や構造を検討するときに必ず話題に上がるのがこの「ひずみ」(ε)です。
ひずみゲージとは、その伸び縮みにより抵抗が変化する事を応用してひずみ量を測定するものです。

⑧.応力測定
応力とひずみの関係
ひずみと応力関係は実験的に求められています。
金属の棒を例にとると、軽く曲げた程度では、棒は元のまっすぐな状態に戻りますが、強く曲げると曲がったまま戻らなくなります。
この元の状態まで戻ることのできる曲げ量(ひずみ量)が弾性域、それ以上を塑性域と言い、弾性域は応力とひずみが直線的な関係にあり、これを「ヤング率」とか「縦弾性係数」と言い、通常「E」で表わします。
ヤング率(縦弾性係数)がわかればひずみ量から応力を計算することが可能です。

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